ウズベキスタンの伝統IKAT (ATLAS、ADRAS)
ウズベキスタンには伝統的なファブリック、ATLAS(アトラス)、ADLAS(アドラス)があります。
ウズベキスタンに行ったら、多くの女性がファッションアイテムとして身に着けたり、レストランのインテリアとして使われているのが目に入ることでしょう。
Atlas(アトラス)、Adras(アドラス)とはどんな生地?
ATLASは100%シルク、ADLASはシルク+コットンの混合生地です。
19世紀初頭には裕福な人々が着るために作られたものだったと言われています。
それが19世紀後半には庶民の間にも広がりました。
その頃ウズベキスタンは3つの国に分かれていたのですが、ATLASの発祥の地であるコーカンド・ハーン国を訪れた商人たちに渡された物がヨーロッパなどで評価されたといわれています。
もともとはウズベキスタンの東部、フェルガナ地方マルギランで手織りされていましたが、最近ではタシケントにも工場があります。
王の絹 Khan-Atlas(ハーンアトラス)
Adras(アドラス)、Atlas(アトラス)の他に、Khan-Atlas(ハーンアトラス)と呼ばれる生地があります。
”王の絹”という意味で、虹色のようにカラフルで手触りも良い生地です。
近年このハーンアトラスが世界的に有名なデザイナーの作品にも使われるなど注目を取り戻してきたとウズベキスタンでも言われています。
このハーンアトラスには伝説があります。
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かつてマルギランの王様(ハーンと呼ばれている)が貧しい織職人の娘に恋をし、5人目の妻にしようとしていました。
それを知った織職人は娘と結婚をしないようお願いをしに行きましたが、条件として翌朝までに美しい織物を持ってくるよう言われました。
織職人は途方に暮れ、お城の用水路に座りこんでいました。
長い時間、雨と涙が混ざり落ちていました。
突然雨が止んだとともに、水面に反射して映る虹と色鮮やかに染まった雲が目に留まったといいます。
彼は工房に帰り、一晩中目にした光景の織物を織ったそうです。
翌朝、王様のところへ行き、約束の織物を差し出しました。
それは、虹色に光輝き、雲のように軽く、素晴らしい生地でした。
そして彼はこの生地についてこう述べました。
「雨で洗われた葉の緑、チューリップの花、夜明けの赤、夜空の青、川に浮かぶぶ太陽の光、そして愛する娘の瞳の色を混ぜ合わせました」
王様はこの生地の心打たれ、約束通り、娘は手放されたということです。
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伝説のとおり、ハーンアトラスは軽く、柔らかく、色鮮やかな生地です。
このハーンアトラスを織るプロセスは非常に複雑だと言われています。
染色には天然成分のみが使用されているとされ、ザクロの皮、玉ねぎの殻、あかね、などが使用されているとのこと。
また、特別なペイントテクニックは、雲を意味するabrと呼ばれるユニークなパターンで作成されています。
マルギランの工房にいくと、ハーンアトラスではないですが、アドラスの最初から最後までの工程を説明してくれます。
とても興味深く、時間が過ぎてしまう場所です。
モダンファッションとしてのAdras(アドラス)
ウズベキスタンの民族衣装として馴染みの高い、アドラス、アトラス。
ダンス衣装や、婚礼後の儀式で花嫁が着る衣装として使われることが多いのですが、近年モダンファッションとして、若者中心に人気が高まっています。
Adras(アドラス)を使用したスカートやシャツ、バッグなど商品も増え、海外でも多く販売されるようになりました。
クッションカバーなどのインテリア雑貨としても人気があります。
Rishtaでも、Adras(アドラス)を使ったオリジナル商品を製作していますが、今後も増やしていきたいと思っています。
カラフルでかわいいウズベキスタンのIKAT。
ぜひ楽しみにしていてください。