煌びやかな伝統衣装と婚姻儀礼を楽しむ ウズベキスタンの結婚式体験記

Rishtaにて、インターン生を迎えております。

今回はインターン生の体験記を記載させていただきます。

 

ウズベク人にとって非常に身近なイベントの一つ、結婚式。

ウズベキスタンでは一家当たりの子どもの数が多いため婚姻の頻度が高く、結婚式実施率も高く、また、披露宴への招待人数が多く、通りすがりの人も飛び入り参加できるのです。

よく観光地でウェディング撮影を行っているので、その場に遭遇する旅行客も多いのではないでしょうか。

また、ウズベキスタンの結婚式の伝統衣装や儀礼は、旅行客から注目されるポイントの一つでもあります。

一言にウズベキスタンの結婚式といっても、その開催方法や行われる儀礼は地域差が大きいですが、今回は、サマルカンド郊外に位置するナルパイという町で参加させていただいた結婚式をご紹介します。

 

伝統的な婚姻儀礼が見どころの婚約式

新郎家の玄関先に鳴り響く音楽隊の生演奏からスタート。新郎側の家族と親族たちは、陽気な音楽とともに踊り手拍子しながら新婦家へ向けて出発。

入り口で小さなお菓子を一人2個ずつもらったら、まずは男性陣、女性陣に分かれて昼食。

部屋の中央に並べられたプロフ、果物、サラダ、ノンなど、数々の料理を取り囲むように座ります。

一番はじめに、結婚生活の幸運を願って甘い水を飲むのが伝統のようです。

 

食後に行われる儀礼も特徴的です。

赤い布の両端に木製のスプーンと枯草を括り付け、部屋を横断するように渡し掛けます。布を挟んだ部屋の奥にはクッションと掛布団が敷かれ、年長の女性と幼児が1人ずつ寝そべり、子孫繁栄を願います。

 

二人が退場し、入れ替わりで新郎が登場すると、今度は新郎の親族や友人である若い男性陣の出番です。お皿に乗せて運ばれてきたお菓子や卵が布の上に投げ込まれるので、男性陣はその空いたお皿にお祝い金を少しずつ乗せます。

 

お菓子や卵が子どもたちに配られたところで、いよいよ花嫁入場。

別室で待機していた花嫁は、白いドレスに身を包み、上半身を覆うベールを軽く持ち上げ、女性陣の歌と手拍子とともに花婿のもとへ。

新郎新婦が揃うと、浄めの蝋燭の煙、ノンや肉などが与えられ、様々な儀式が二人の前で執り行われます。

一通りの儀式が終わり、ハグで家族と別れを告げた花嫁を花婿家へ迎えたところで1日目の行事は終了。

新郎家に新しい夫婦のための部屋を用意し、2日目のお祝いの準備に取り掛かります。

 

ウズベク女性の定番行事kelin-salom(花嫁の挨拶)

親族の女性のみで午前中に行われる行事、kelin-salom(ケレン・サローム)。

花嫁は来客の女性全員に3回ずつ深々とお辞儀をします。このジェスチャーで結婚式のことだと伝わるほど、ウズベキスタンの結婚式においては通例の行事です。

 

集まった女性たちは一人ひとりお祝いの品を贈って花嫁とハグを交わし、お土産にハンカチを貰います。その後、花嫁の前にノン、お菓子、ザクロ、お茶が並べられ、新郎側の両親がその前に座り、お祝い金と交換で贈り物を貰います。

進行役の歌に合わせて踊り、皆で昼食をとると、一旦その場はお開き。

 

メモリアルムービーの撮影

15時をまわった頃、新郎新婦とその親族、友人たち数人でメモリアルムービーの撮影へ。

ここから新郎新婦は、日本でも見られるようなタキシードとウェディングドレス姿になります。

まずは全員を乗せた車でのパフォーマンス。並走する2台が同時に左右へ分かれると、その間から後方の1台が飛び出してくるという、映画さながらの演出です。先頭を走るカメラマンがそれを捉えます。

車道で撮影しつつ、いくつかの撮影スポットを回り、公園では新郎新婦が並んで歩く様子や友人たちとの集合写真、クラブではダンスを楽しむ姿を撮影しました。

日本人である私が参加しているということで、日本語で祝辞を述べる様子も撮影しました。

 

ウズベキスタンの結婚式最大の見せ場 披露宴

撮影の終わった夕方、いよいよ披露宴を行うレストランへ向かいます。

ウズベキスタンの披露宴は多いと1000人以上、少なくても100人は招待すると聞かされていましたが、やはり噂通り圧巻の人の数。

女性のドレスや化粧も1日目よりさらに華やかに、前日はワイシャツにスラックスだった男性もスーツできっちり正装しています。

新郎新婦の入場は撒かれる紙幣で迎えられ、花に囲まれた豪華なステージに着席。

日本の結婚式のように静かにスピーチを聞かなければならない瞬間というのはあまりなく、みんな自由に食事をとり、お喋りをし、記念撮影を楽しみます。

友人によるスピーチなどもなく、基本的に話すのは新郎新婦の両親や親族のみです。

今回私は新郎家に客人として呼ばれた日本人ということで、披露宴でも急遽スピーチをすることになり、簡単なウズベク語で祝辞を述べさせていただきました。調べたところ、飛び入り参加した日本人がスピーチを頼まれるというのはよくあることのようですね。

スピーチ以外の時間はミュージシャンによる生演奏が鳴り響き、それに合わせて参加者たちが各々自由に踊ります。

 

また、日本のようなケーキ入刀もありましたが、カットした後のケーキは新郎新婦が直接スプーンで参加者たちの口へ運ぶなど、独自の文化も見られます。

お開きの後も、新郎家では親族が集まり、改めて食事をとりながら歓談。

こうして結婚式の夜は更けていきます。

 

旅行者も気軽に参加できるウズベキスタンの結婚式

世界各地で行われる婚姻の儀式こそ、国民性や様式の違いが際立って面白いもの。ですが、実際に海外旅行中に立ち会える機会はあまりないのではないでしょうか。

ウズベキスタンの結婚式は誰でも気軽に参加できる上、旅行客に対しても、どんどん料理を勧めたり、一番前で撮影するよう皆で押し出したりと、とても温かく迎え入れてくれる人ばかり。

独自の伝統儀礼の面白さ、朝から晩まで踊り続けるエネルギッシュさに溢れたウズベキスタンの結婚式。

ウズベク旅行中にタイミングが合えば、きっと忘れられない最高の思い出になることでしょう。

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